流星群イベントをするときの浅田先生の講座の表題は、このところ、「彗星と流星の深ーい関係」に定着している。
たまには趣向を変えて別の表題を、とも思うのだが、最終的にはここに落ち着く。つまり、そこが流星群の”いろは”
の”い”、といった感じなのだろう。

流星の夜 by asada

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≪流星群て何?≫
簡単に表現すると、流星群とは、彗星が宇宙空間にばらまいていったチリのトンネルに地球の軌道がぶつかったとき、
そのチリが地球の大気に超高速にぶつかって、その大気がイオン化する現象。

流星群の母ともいえる彗星は地球を遠く離れた宇宙の果てからやってきます。向かう先は太陽。彗星は太陽に近づく
と太陽からの強烈なエネルギーを受け、大量のガスとチリを吹き出し、二本の雄大なイオンの尾とチリの尾を作ります。
さらに、その軌道上に膨大なチリの連なりを残し、彗星から吹きだした比較的大きなチリが彗星と一緒に軌道を回って
いるのです。このチリたちの作る列は、太陽の周りを何度も回るうち、軌道全体に広がる帯(ダストトレイル)となり
ます。そして、その彗星の軌道と地球の軌道が交わるとき、チリはすさまじいスピードで地球の大気と衝突し、その
エネルギーで大気が光を放ちます。これが流星群です。
これまで、いくつかの彗星がチリの帯を作ってきました。そして彗星のダストトレイルと地球の軌道が交わる場所は
一つです。これが、毎年決まった時期に決まった流星群を地球に見せてくれる所以です。
だから、流星群をみるには、毎年きまった時期に期待できる日というものがある。

≪三大流星群≫
その期待できる日の中でも、とりわけ期待できる三大流星群というものがある。
国立天文台によると、その極大となる日、極大時のZHR(極大時に放射点が天頂にあるとした場合の一定の暗さの
空における1時間当たりの流星出現数)、極大時1時間当たりの流星数は次の数字となっている。

しぶんぎ座流星群 極大:1月4日
しぶんぎ座は今ではなくなてしまった昔の星座の名前だ。今で言うりゅう座にあたり、したがって、放射点がある
場所から「りゅう座ι(イオタ)流星群」 と呼ばれたりもする。
極大時のZHR:120 極大時1時間当たりの流星数:45
と素晴らしい数字なのだが、他の二つにくらべると、マイナーな存在のようだ。これは、年によって当たりはずれ
があるというのもひとつの理由のようだが、それはまたの機会に掘り下げよう。

ペルセウス座流星群  極大 :8月13日
おなじみ8月お盆の時期の風物詩ともなっている。
極大時のZHR:100 極大時1時間あたりの流星数:40
という事で、数だけでは、前述のしぶんぎ座のほうがまさっているのだが、夏のお盆の時期ということもあり、
また、とりわけ派手な流星が期待できるということもあり、根強い人気を誇っている。

ふたご座流星群   極大:12月14日~15日
さて、本ブログの主役のふたご座流星群です。言ってみれば、12月のこれからクリスマスを迎えるという時期の
風物詩ともいえる。
極大時のZHR:120 極大時1時間当たりの流星数 45
という事で、素晴らしい数字。しぶんぎ座と同じ数字だが、実際に流星を経験した人にとっては、ふたご座流星群
がおしも押されぬ、流星群の王者でることに異論はないだろう。流星の特徴としては、地球の軌道とダストトレイル
のぶつかり方によるのだろうが、ペルセウスの様な派手さとはまた違い、まるで涙が落ちるようにトロリと流れる
その在り様は、「カストルの涙」さながらに、我々をファンタジーの世界へ誘ってくれる。

≪流星群をみる好条件とは?≫
そして、実は流星群をみるのにも、その年の当たりはずれ、というものがある。その条件を見て見よう。

① 月がでていないこと。
月は相当な明るさで、星の観賞には、まさしくありがたくない存在だ。この流星群を鑑賞する時間帯に、月がでて
いないこと。出ていたとしても、細い月で、明るさに影響を及ぼさないことが望まれる。

② 極大時の放射点が出てくるときの時間帯と位置。
極大時が昼間の時間帯であったりする条件は好ましくはない。勿論、流星は前後3日ほど期待できるとはいうものの、
極大時が深夜であることに越したことはない。

また、その放射点の位置も、低空をかすめて、空を渡っていくようではこれも興ざめである。
出来れば、極大時間は深夜に、放射点は天頂近くをとおっていくことが望ましい。

そういう意味で、見ていいるとどうだろう。
①まず、月。
12/14は月齢1.3、12/15は月齢2.3 であり、新月近いこのころの月は、ほとんど太陽と共に登り共に沈む。
したがって、夜空には出現しないという恰好の条件だ。

②極大時間は、12/15 4時。この季節の4時はまだまだ深夜なので、合格である。
放射点は、カストロの近くだが、北よりの東から昇り、ほとんど天頂をかすめ、西へ沈む。これも大いに合格である。

≪だから、2023年12月14日はまたとない”ふりそそぐ流星”の日!≫
という事で、2023年のふたご座流星群は、またとない好条件のもとで見られる幸運な流星群と言える。
まさに極大日の12/14日の夜から15日の未明にかけて、ここ数年のうちではまたとない好条件のふたご座流星群を、
ホテルの屋上で、寝転がって観賞してみませんか?

流星群の夜
by asada