4月5月の観望会は、チラシのようになります。日程表はこちらを参考にしてください。 ご案内用PDFファイル
冬の間、夜空にどーんと君臨していた煌びやかな冬の星座たちは、もうすっかり西へ傾き、見ることはかなわなくなりました。
また、1年いや半年ほどのお別れだねと、別れの言葉を言いたくなります。
代わりに東から、春の星座たちが昇ってきています。冬の夜空に比べると、明るい星も少なく、
晴天のようでも実際には春霞がかかったような柔らかな表情のこの春の星空。
このように、夜空にそれぞれの季節の顔があるのは、我々が天の川銀河のどこにいて、
どのように外の世界を見ているかによるところが大きいです。
私たちの地球は太陽系にあり、その太陽系はまさに、天の川銀河の中に存在しています。
つまり、星空は天の川銀河を中から見ている景色なのです。この天の川銀河の様子をわかり易く見ると、
下図になります。

天の川銀河は渦巻腕を持つ円盤状の形態で、この円盤を真横から見ると、薄い凸レンズのような形をしています。
太陽系が天の川銀河の中心より少し離れたところに位置し(中心より約3万光年離れている)、
その太陽系から天の川銀河の中心部をみたのが夏の星座です。なるほど、夏はさそり座いて座の辺りに、
天の川銀河を象徴するもっとも太い部分を見ることができ、この辺りを望遠鏡でのぞくと、星雲、星団の宝庫であり、
どこをとっても星々を多く見ることができます。
逆に、天の川銀河の円盤の中心と逆方向を見た場合、そこにも天の川銀河は広がっており、星々を見ることができます。
夏ほどではありませんが、このディスクの幅方向(上下方向)を見るより、中心の逆方向のほうが星が多いような気はしますね。
これが冬の星空です。その上、冬の方向には、たまたまと申しましょうか、明るい星が集まっているので、
賑やかに豪華な星空を見ることができます。
では、円盤の上下方向である、春や秋の星空はどうなのでしょう。
当然の結果、残念ながらと言いましょうか、星の数は少なく、なんだか、寂しい星空のような気もします。
だがしかし、がっかりしてはいられません。
その代わりに! この広い暗い空の彼方には、天の川銀河の外の宇宙が見渡せます。つまり、言ってみれば
春や秋の夜空には、天の川銀河の外の世界を見るための「宇宙の窓」がすっぽりと開いているようなものです。
おとめ座銀河団、おおぐま座銀河団、さんかく座銀河団といった銀河の宝庫を私たちは、
その柔らかな春の夜空の彼方にに見ています。
≪春の夜空の見どころのまとめ≫
1.身近なところから、まずは北斗七星
北斗七星は星座でいうとおおぐま座で、おおぐま座の一部(お尻としっぽの部分)です。
北の空にあるので、時間を選ばなければ、ほぼ1年中見ることができます。
でも、北斗七星は「春の星座」に分類されます。
それは8時9時というゴールデンタイムに一番見やすい位置に来るからと私は思っています。
そして、北斗七星の形はよく鯉のぼりにたとえられますが、その鯉が、春には、まるで空を駆け上る
ように、勢いよく生き生きとした姿で描かれるからではないでしょうか。
夏だと、北極星の上で寝そべる北斗七星、秋だと落ちて行く北斗七星、となり、
やはり春が一番かっこいい!ですね。
ちなみに、北斗七星の7つの星は「お・お・ぐ・ま・の・しっ・ぽ」と呼びます。
この「しっ」になぜに小さな「っ」がついているかのお話は、観望会でのお楽しみに。
2.春の大曲線
その北斗七星の柄杓の柄を作る3個の星をそのままカーブに沿って延長します。
すると、30度(げんこつ3つくらい)の距離の先に、オレンジ色の明るい星があり、
さらにその曲線を延ばすと、白くと楚々とした星があります。これらは、うしかい座のアークツールス(0等星)
とおとめ座のスピカ(1等星)です。春の夜空に堂々と描かれたこの曲線のことを「春の大曲線」と言います。
3.春の大三角
春の大曲線が描けたら、次はその二つの星を底辺として正三角形が描くことができる位置に、
やはり、明るい星があります。この星は残念ながら、2等星ですが、これで立派な正三角形を
春の夜空に描くことができました。この星は、しし座のししのシッポの位置に当たる、
意味はお尻という意味のデネボラという星です。
冬の大三角に比べると、それぞれの星の光度は敵いませんが、春の大三角のほうが三角形としては
面積が大きく立派な三角形が描けました。
ちなみに、さらにりょうけん座のコルカロリという星を加えると、三角形が二つ合わさり菱型となり、
「春のダイヤモンド」とも言われています。
4.プレセペ星団 ふたご座の隣に位置し、春の星座の先頭にたって昇ってくるのは、かに座です。
黄道12星座にも含まれ、馴染みのある名前ですが、あいにく明るい星は少なく、見つけにくいです。
しかし、ふたご座のポルックスとしし座のレグルスという二つの1等星のだいだい中間に目をやり、
なんとなくぼわっとしたものを感じることが出来たら、それは有名なプレセペ星団です。
蟹の甲羅に位置するそのあたりに双眼鏡や望遠鏡で覗くと、無数の星が宝石のように集まっている、
美しい星の集団に出えます。
5.ししの巨釜(おおがま) そして、しし座が続きます。はてなマークを裏返したような半円状の星の並びは、
獅子のたてがみを思わせ、ししの巨釜と読んでいます。この巨釜には、ちょうど獅子の心臓部分にあたる
1等星レグルスと、その上には、二重星で有名なアルギエバという赤っぽい星が並びます。
しし座は、星座絵としてのししの星図を容易に思い浮かべることができる星座ですね。
そして、このししにしっぽの星がデネボラ、大三角の一画を担う存在です。
6.宇宙の窓 初めに説明したとおり、春は天の川銀河の薄い部分を見ているため、遠くにある別の銀河を
観察するのに適しています。これを「宇宙の窓」と呼んでいます。おとめ座やしし座、おおぐま座の方向には、
数千万光年先の銀河団がひしめき合っているのです。
ちなみに、その中でも、おとめ座銀河団と言うのは、われわれにとっても特別な存在です。
距離は6500万光年、1300~2000個もの銀河!(星ではありません)が重力で一か所に集まっている巨大な集団です。
そして、私たちの天の川銀河も、実は、この「おとめ座銀河団」が中心となっているさらに大きな「おとめ座超銀河団」
の末端に所属していると言われています。
また、2019年に世界で初めてブラックホールの直接撮影に成功したM87という銀河は、このおとめ座銀河団の中心
に存在する巨大な楕円銀河です。
さて、「春は銀河が見える!!」と豪語しても、銀河は外の世界、あまりにもあまりにも遠いので、
望遠鏡でもとらえることができない、と言うのが現状です。(といっても、秋のアンドロメダ銀河、
南半球の大小のマゼラン銀河はなんとなくぼやっとしたものとして見られることはありますが。)
そんな超遠くの銀河を見ようとするので、簡単にはいきませんが、実は秘密兵器があるのです!
伊良湖天文クラブの持つ、eVscope というスマート望遠鏡なら、この超遠い銀河の姿を見ることができます。
これは望遠鏡とカメラが一体となったようなものですので、カメラのように長時間露光をして、
写真にとったような天体の姿をその場で観察することができます。
条件が整った日には、これらも使って、春の銀河祭りをしたいと思っています。
ブログの最後に、スマート望遠鏡で撮影したいくつかの銀河を紹介します。 
↑ M104 ソンブレロ銀河 おとめ座 距離 4,600万光年
大きな暗黒星雲が銀河を一直線に横切る様子が特徴的で、
その様子がメキシコのソンブレロという帽子のようなので、この名で親しまれている。

↑M82 シガール銀河 おおぐま座の渦巻銀河 距離 1,200万光年
爆発的な星形成活動(スターバースト)を行っている非常に明るい銀河
その姿が葉巻シガールににていることから、シガール銀河と呼ばれる。

↑M64 黒目銀河 かみのけ座の渦巻銀河 距離 1,900万光年
手前にはっきりとした暗黒帯があり、それが目のように見えることから
黒目銀河と呼ばれる。
やはり、通常の望遠鏡とスマート望遠鏡では、対象とすべきものが違ってきますね。
銀河を鑑賞するなら、ぜひ、スマート望遠鏡で、春の銀河の宝庫を味わってみましょう。
K.H.
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