⤴アンドロメダを化けくじらから救うペルセウス。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『ペルセウスとアンドロメダ』
(1554-1556年、ウォレス・コレクション所蔵)/パブリックドメイン
10月9月の観望会は、チラシのようになります。日程表はこちらを参考にしてください。 ご案内用PDFファイル
夏の賑やかな天の川が西へ沈み、秋の夜空を見上げると、秋の四辺形がその中心にいるものの、どこ
か静かでどっしりとした暗闇に宇宙の奥行を感じます。そうですね、秋の夜空には一等星はフォーマ
ルハウトの一つだけで、明るい星は確かに少ないのです。
ですが、この秋の夜空こそが、88ある星座の中で最も色濃くギリシャ神話の世界を紹介するもので、
ロマンチックで壮大な「エチオピア王家の物語」が繰り広げられている世界なのです。
その物語を紹介しましょう。
エチオピア国王ケフェウスは、妃のカシオペアと美しい一人娘アンドロメダとともに、平穏に暮らし
ていました。ある日のこと、カシオペアは娘を自慢に思うあまり、「私の美しいい娘アンドロメダと
比べたら、この世でもっとも美しいという海の精ネレイスなどかすんでしまう。」などと自慢してし
まいました。この発言に激怒したネレイスは、海の神ポセイドンに頼んで、この生意気な人間たちを
懲らしめようということになり、ポセイドンは海のお化けクジラにこのエチオピアの国を襲うように
命じたのです。それからというもの、連日連夜お化けクジラに襲われ、エチオペアの国は亡国の危機
に見舞われてしまいます。
困り果てたケフェウス王が、神にお伺いを立てました、すると、なんと神は
アンドロメダを生贄として化けくじらにささげたら、エチオピアの国を救ってやろう、との回答でし
た。悩みぬいたケフェウス王。断腸の思いだったことでしょう。しかし、国を亡びさせるわけにはい
かず、泣く泣く、神の言葉に従い生贄とすべく、アンドロメダを海岸に縛り付けました。
さて、話は変わって、ペルセウス。
ペルセウスとはギリシャ神話に登場する英雄です。彼はアルゴスの国の姫、ダナエと、彼女に恋をし
た大神ゼウスが黄金の雨に姿を変え近づき、ダナエと結ばれたために生れました。ダナエをモチーフ
とした絵画は多く、レンブラントのダナエも有名ですが、私は、グスタフクリムトの書いた絵がなん
ともインパクトが強く、この黄金の雨の話を聞いてからは、とても忘れられないものとなりました。
さて、この様に、ペルセウスは、その出生からして劇的なのですが、生涯もまた、いくつかの難題を
乗り越えたものでした。
その一つがメドゥーサ退治。
メドゥーサとは女の怪物で、頭髪は無数のへびでできており、メドゥーサを見たものをすべて石に変
えてしまう、という恐ろしものでした。そのメドゥーサ退治を命ぜられたペルセウスは、メヅゥーサ
を直には見ることができないので(石にされてしまう)、鏡のようにピカピカの楯に写ったメドゥー
サを、なんとか退治しました。その首を切った時にほとばしり出た血が岩の割れ目にしみこみ、そこ
から一頭の翼を持った白馬が飛び出したと言われます。それが天馬ペガススです。ペルセウスは、ペ
ガススにまたがり、メドゥーサの頭をもち、故郷へ飛び立ちます。
そして、その帰り道、このエチオピアの上空にやってきて、この海岸に縛り付けられた哀れなアンド
ロメダを発見するのです。
まさに化けくじらがアンドロメダ姫に襲い掛かろうとしたその時、ペルセウスは化けくじらを退治す
べく襲い掛かりますが、相手は手ごわい。あまりにも大きく、とても歯が立ちません。が、ペルセウ
スはその時、明案を思い付き、手に持っていたメドゥーサを化けクジラの前に差し出し、化けクジラ
を大きな岩にしてしまい、くじらは海の底へ沈んで行きました。
こうして、間一髪のところでアンドロメダ姫を救ったペルセウスは、やがて、アンドロメダ姫と結婚
し、故郷に帰り二人で幸せに暮らした、とのことです。
エチオペア王家の大スペクトルロマンはこんなところですが、ここで、登場した、
ケフェウス、カシオペア、アンドロメダ、ペルセウス、ペガスス、くじら がそれぞれ秋を代表する
星座として、そろい踏みをしているのが、まさに秋の夜空です。
夜空を見上げたときに、こんなお話を頭に描くと、また、夜空の味わい方の楽しさも広がります。

次に、ちょっとだけ天文的な話題も添えておきましょう。
★アンドロメダ銀河
上の星図にて、アンドロメダの文字の左側、緑の丸でしめしたあたり。
アンドロメダ座の御姫様の腰の辺りを、じっと目を凝らして見て見てください。微かな光のもやのよ
うなものが感じられます。これが、もう一つのロマン、アンドロメダ銀河(M31)。
このアンドロメダ銀河は、私たちの天の川銀河のお隣にある巨大な銀河で、その距離はおよそ250万
光年。私たちが肉眼で見ることができる最も遠い天体と言っていいでしょう。
今、皆さんの目に届いているその柔らかな光はなんと250万年前、まだ地球上に人類が誕生したばか
りの頃に、アンドロメダ銀河を出発し、はるかな壮大なる旅を経て届いた光なのです。
★変光星:アルゴル
上の星図にて、ペルセウスが手に持つメデゥーサの顔の赤丸でしめした星。
ペルセウス座のペルセウスが手に持つメドゥーサの目に輝く星アルゴル(ペルセウス座β星)は、約
2日17時間という短い周期で明るさが変わる、最も有名な「食変光星」です。ペルセウス座で最も明
るい星ではありませんが、最も有名な星といえます。食変光星とは、星の明るさそのものが変わるの
ではなく、複数の星が回り合う(連星)ため、手前の星が奥の星を隠すことから生じる明るさの変化
する星を言います。ちなみに、アルゴルとは、アラビア語で「悪魔」を意味するそうです。昔の人
は、星が明るくなったり暗くなることを不気味に感じていたのでしょう。
という事で、今日は、ギリシャ神話からひも解く秋の夜空の楽しみ方、をご紹介しました。
伊良湖ホテルの天文台で、アンドロメダ銀河を観察しながら、こんな世界を味わいましょう。
K.H.
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