天文クラブ発足以来、月食と言えば観望会を企画し、気合をいれてきました。
しかし、今回のように「完璧」と言える月食に巡り合えて感激です。
ほぼ快晴の夜空の下、月食の初めから終わりまでを、昼間でもない、夜中でもな
い通常の「宵」と呼ぶ時間帯に、大げさだけど何か共通の思いをもって集まった
方たちと共に楽しんだこと、興奮したこと、その連帯感を味わえたことが幸せで
した。

まずは、17:00からの豊増学芸員による月食解説。
あいにく生徒のほうは、6人程度でしたが、ステラナビゲーターによって、今回
の月食のシミュレーションがあり、今回ならではの目玉「天王星の月への潜入と
復活」はどういった感じで進んでいくのか、よーくイメージトレーニングができ
ました。
更に今回の月食の前後の「皆既月食中の惑星食」もシミュレーション。
前回は1580年7月26日 の土星食
この時は、すでに欠けた状態の月が昇ってきています。月はやぎ座にいるみた
い。土星食は、土星が月の明るさをひっぱって月の復活に一役かっている感じです。
次回は2344年1月31日
この時は、かに座の甲羅に月はいる。冬だから、周りは明るい星が多い。
23時ごろから始まる月食は夜中の3時まで続く。ああ、見たいな。いったい、ど
れだけ長生きしなくてはならないの?

さてさて、講義のあとは腹ごなしをして、19時頃天文台へ向かうと、もうすで
に月はかなり、食されていた。しかし、なんという光景だろう。まるで、どこか
未知の宇宙の旅に行ったような不思議な光景にしばし、言葉を失う。

今年の赤銅色は、コソボ火山の影響を受け、どうなんだろう?暗いだろうか?と
危惧されていたが、そんなに暗い印象はない。でも、やや暗いかな。

そして、やってきました。今回の真打。天王星食。
惑星も金星、火星、木星、土星は観望会の花形だけど、さらに遠く土星より小さ
い6等星の天王星や8等星の海王星はとりあげられ注目されることも少ないが、天
王星はこの夜ほど、人々に注目され、世界中からその動きを見つめられたことも
ないだろう。月と天王星の大きさ比較は、それこそ、大鍋にくっついたゴマ粒ほ
どのものだ。そして、日本中がその接触する瞬間に息を呑んだ。やった!見た
ぞ。そして、写真撮れた!!!と会場で歓喜の声が上がる。
そして、ゴマ粒は、50分ほどして、半分明るさを取り戻した月の暗い部分から再
び姿を現しました。「お帰り!」

そこで、皆さんの力作をご紹介しましょう。

月に潜入する天王星 左下

1枚目:天王星潜入の瞬間。参加者K氏より。コリメート法にて。
我が天文クラブのTOA150が活躍してますね。そして、Kさんの一眼レフ。す
ばらしい。氷の惑星、天王星の青みが感じられます。

2枚目、3枚目。クラブ員、Y氏撮影。300mm望遠レンズにて。

潜入時の天王星 左下

潜入時のものは、月のすぐ右となりの星は、おひつじ座HD18144
月の裏側からでてきた天王星。

右側に復帰する天王星

これだけ月が明るくなると、明るい部分と暗い部
分の落差があり難しいものがありますが、ばっちり写っていますね。青
味をを帯びた天王星。その右下の星はHD18357

さて、4枚目は、同じくクラブ員、I氏の力作。
10分毎に撮影したデータを張り合わせたものです。この青が凄い!
本影と半影の境目に見ることのできる、ターコイズブルーのフリンジ。
皆既月食とは、黄褐色の月がだんだんと欠けていき、皆既中は赤銅色になり、
それがまた、元の月に戻っていくという現象ですが、実際に望遠鏡や双眼鏡での
ぞくと、そのフリンジに現れる微妙な色の変化というものに着目することとなり
ます。「ターコイズフリンジ」。

月食の日の月を10分ごとに撮影しました。

また、月食は、普段気に留めることもない「地球の影」というものを確認するこ
ととなる希少な体験の時間でした。夢のような神秘の一夜はあっという間に過ぎ
ていきました。

なお、当天文クラブのアドバイザーである浅田先生が、当日の時間を追った詳細

の映像をPPにまとめてくださいましたので、HP最後のギャラリーに掲載して

いますので、ご覧ください。あの夜の感動が彷彿と再現されています。

参加いただき、この興奮や楽しみを共有させていただいた皆さま、ありがとうご
ざいました。
次回の皆既月食は、ちょっと遠い2025年9月8日ですが、またよろしく。その時ま
でに写真の腕も磨いておきましょう。