今年も「ふたご座流星群」の夜がやってきました。
三大流星群のなかでも、とりわけ、安定した流星の数を見せるふたご座流星群。
そろそろ登ってきた冬の絢爛豪華な星座群たちに、木星、土星、そして火星も加わり、そして流星群。
この流星群の夜は、このうえなく贅沢な12月の冬の夜空を見せつけることでしょう。
そんな贅沢な夜を、天文研究科浅田先生の天文講座とともに、ホテルの屋上の天文台にて、
まったり寝転がって星空を眺めながら過ごすことも一興ですね。
流星群イベントをするときの浅田先生の講座の表題は、このところ「彗星と流星の深ーい関係」 に定着している。たまには趣向をかえて別の表題を、とも思うのだが、最終的にはここに落ち着く。 つまり、そこが「流星群って何?」を理解する”いろはのい”といった感じなのだろう。 ≪まずは、流星って何?≫ 流星群を語る前に、まず、流星について語ろう。流星とは流れ星のことである。 天空のある一点で生じた光が一定の距離を移動して消滅する現象。 これは宇宙空間に存在する流星物質(チリ)が地球の大気に衝突、突入した際に発光したものである。
流星物質すなわちチリは、宇宙空間のどこにもあり、0.1mm以下のごく小さいものから、数センチ以上の
小石のようなものまである。これが超猛スピードで地球の大気とぶつかり、大気の分子と衝突して
プラズマ化する。その結果、我々の目には光の軌跡となる。元の流星物質が大きい場合は、隕石として
地上に突入する。 宇宙空間にはこうしたチリがまんべんなく存在しているので、流星(流れ星)は、ある程度、
いつでも出会うことができる。たとえば、伊良湖ホテル&リゾートの屋上で観望会を行っていると、
平均して一回に1個程度の流星には出会うものである。そして、この、特にその出所のはっきりしない、
当たり前の、単なる流星は「散在流星」と呼ばれる。 ≪流星群って何?≫ さて、単なる流星”散在流星”がでてきたら、今度は、その反対、ちょっといわくつきの流星の話である。
さて、一年の内には、凄く沢山流星に出会うことのできる日と言うものがある。 つまり、宇宙空間に、流星物質であるチリがぎっしりと集まっているところがある。 なぜにチリが集まっているのかというと、ここで、やっと彗星のお出ましである。そのチリの生みの親は
「彗星」で、その通り道には、彗星がばらまいて行ったチリなどがぎっしり浮かんでいる宇宙空間が存在する。 ≪彗星って何?」≫ 彗星は太陽系の一員だ。つまり、太陽とその重力に支配されている天体の中の一つである。 彗星の正体は、直径が数kmから十数kmの、氷や雪やチリがゴテゴテに固まった「汚れた雪だるま」と
言われる。成分はほとんどが水。残りは二酸化炭素、一酸化炭素、炭素、窒素など。 そして、彗星がどこからやってくるのかと言うと、ひとつは、冥王星の外側に広がる、惑星になりそこねた
チリが円盤状に存在するカイパーベルト。そして、もうひとつは、太陽系の果ての果て、太陽系自体を
球殻状に包み込んでいるオールトの雲。それらにいた小天体が、ある日、にわかに、何かの刺激を得て、
突然、太陽へ回帰を始める。そして、その小天体が太陽へ近づくと、そのよごれた雪だるまが溶け出し、
それらの気体やチリを、その軌道上にばらまくこととなる。 そして、その彗星がばらまいたチリ(ダスト)のトンネルを「ダストトレイル」と呼び、
そのダストトレイルが地球の軌道と交わると、多くのチリが地球の大気にぶつかり、イオン化し、流星となる。 そして、その彗星と地球の軌道が交わる地点は、決まっているので、毎年同じ日に流星を多く見ることが
できる日がやってくる。これが、流星群だ。そして、その放射点が存在する星座の名前を付けて、
「ペルセウス座流星群」「ふたご座流星群」などと呼ぶ。 だから、言ってみれば流星は、はるか太陽系の果てからやってきた旅人:彗星が残していった「置き土産」と
言えるのです。「流星と彗星の深ーい関係」と言われる所以を理解していただけたであろうか。 という事は流星群には、それをもたらしている彗星がいるわけで、それを母天体と言う。通常、彗星の名前が
出てくるのだが、このふたご座流星群に関しては、ファエトンという小惑星といわれている。ファエトンは
かつては彗星だったがガスやチリなどの揮発成分を放出しくつしてしまった天体で、以前に放出したチリが
地球の軌道と交差する軌道をめぐっており、ふたご座流星群となっていると理解されている。 ≪ふたご座流星群の特徴≫ 地球の軌道とダストトレイルのぶつかり方によって、それぞれの流星群の特徴がかわってくるであろうが、
二大流星群の特徴は、シャープで派手な「ペルセウス座流星群」、暖かで優しい「ふたご座流星群」と
私は感じている。
ふたご座流星群は、夏のペルセウスの時のような派手さはないが、まるで涙が落ちるようにトロリと流れる。
その在り様は、放射点がちょうど、ふたご座の代表的な星「カストル」の近くにあることから、
「カストルの涙」さながらに感じられ、我々をファンタジーの世界へ誘ってくれる。 ≪今年のふたご座流星群の条件は?≫ 極大:12月14日10時 残念ながら極大時が昼間となっている。 月 12/14は月齢13 満月の二日前。うーん。 流星を見るための条件は良くはないが、それでも、流星群の王者:ふたご座流星群である。お天気さへ良ければ、
必ず見ることができる、そんな抜群の安定感のある流星群だ。 きっと、この厳しい条件下でも、私たちを流星の世界へ誘ってくれるものと期待する。 ちなみに、昨年は、前評判としては、極大時刻も月との関係も素晴らしく、これはきっとふりそそぐ流星を
見られる!と心を弾ませた。
だが、結局、お天気が悪く、流星は一個も見られず、おまけに、木星、土星までも見ることができなかった。
こんなことも在る。 色々なめぐりお合わせが吉と出て、12月のクリスマス前の冬の夜空に、カストルの涙にいくつも出会える、
心に残る夜となることを期待する。