やさしい科学的天文講座
「球状星団が語る宇宙の姿」・・・宇宙を探る古くて新しいカギ
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第1回 レジュメ : 球状星団の一般的特徴
第2回 レジュメ : ちょっと変わった球状星団
第3回 レジュメ : 研究手段としての球状星団
第4回 レジュメ : 天の川銀河以外の球状星団について
(レジュメは実施日が近づきましたらアップいたします。)
≪はじめに・・・これって、本当に星の集まり?≫
星空観望会で紹介する天体の中に、星団と呼ばれるものがあります。
星団とはまさしく星の集まり。星々が重力でまとまっているものです。
大きく分けて「散開星団」と「球状星団」という分類があります。
簡単に表にまとめるとこんな感じ。
散開星団 球状星団
星の数 数十~数百個 数万~数百万個
形状 不規則(まばら) 球状(密集)
星の年齢 若い(数百万~数十億年) 古い(100億年以上)
存在する場所 銀河ディスク(天の川の渦) 銀河ハロー(銀河系全体)
散開星団の代表は、おうし座の”すばる”、ペルセウス座の”二重星団”、かに座のプレセペ星団など。
スバルは肉眼でもわかりますし、それ以外でも小型の望遠鏡でのぞけば、星が集まっている様子が
せまってきて、煌びやかな姿は見る人に感嘆の声をあげさせます。
そこへ行くと、球状星団はどうなのでしょう。 伊良湖天文クラブの望遠鏡、TOA150では、
球状星団として夏場ならヘルクレス座のM13を、冬場ならペガスス座のM15を導入します。
いずれも、望遠鏡でのぞいた先にあるものは、白くてもわっとした綿菓子のような存在です。
知らない人がのぞけば、「これって、レンズが曇っている?」などと思うかも。
先ほどの二つの星団の比較に、存在する場所と言うものがありました。
銀河系のディスクとハローの距離間は? ディスクの距離は半径5万光年それに対して、ハローの大きさは
半径数十万光年。 つまり、ディスクの広がりの10倍もの距離の球形状にハローは広がっています。
そして、それだけ広大な範囲に広がっているにもかかわらず、ハローに所属する恒星の総質量は、
銀河系全体の1%程度だという事です。そんな希薄な世界に存在している恒星たちは、
ほとんど今から120億年以上前に誕生した低質量星の球状星団だという事です。
という事は、天の川銀河のバルジや円盤にある、恒星や散開星団を観測することに比べて、
この広大なハローに存在している球状星団は、非常に遠いところに存在しているとも言えます。
そんな天体に望遠鏡を向けて、星団を形成している星一つ一つが識別できる程度に観測することは、
至難の業なのかもしれません。つまり遠さが違うんだととりあえずは納得します。
球状星団。身近な天体望遠鏡では、綿菓子のように白くてぼわっとしたものにしか見えない、この代物。
しかし、その綿菓子のような存在は、実はカメラで言う画素のような一つ一つの小さな点の集まりであり、
数十万とも数百万とも言われる数の星が、おしくら饅頭のようにぎゅうぎゅうに集まった存在であり、
これを時間をかけ露光して写真を撮ると、それがまさしく煌びやかな光の結晶のような存在であることが
分かります。残念ながら口径15cmの望遠鏡では綿菓子のようですが、もっと口径の大きな望遠鏡になると、
粒粒とした感じが受け取れるようになり、一つ一つの小さな点の集まりに見えてきます。
そして、時間をかけて写真を撮ればまさに、そこにあるものは、煌びやかで色彩を帯びた光の結晶のようです。
まさに煌々と煌々と光り輝き、われわれを宇宙の神秘へ誘ってくれます。
≪我々人類と球状星団の歴史≫
という事は、この球状星団の発見の歴史も、この様に望遠鏡の精度が良くなっていくにしたがって、
段階的に見えているものが進化していったのだろうと想像されます。
それで、その進化を、次の4つの段階に区切ってみました。
≪1.初期:星雲としての発見(~17世紀)≫
おもに、星雲として認識されていた時代。
天体としてなんらか認識していたという意味では、紀元前のトレミーまでさかのぼります。
もっとも、それ以前も認識されていたかもしれませんが、記録として残っているのはここからです。
・紀元前2C トレミー(プトレマイオス)が著書アルマゲストの中で、今でいう「オメガ星団」
をケンタウルス座を形づくる星の一つとして記録しています。ただし、ここでは
星雲ではなく、単独の星としてとらえたようです。
・1665年 球状星団を最初に発見したとされるのは、ドイツのアマチュア天文学者ヨハン・アブラハム・イーレ。
彼はいて座付近の天の川を観測していた際に、霧のようなぼんやりとした光のしみを発見。
これは、現代では「M22」と呼ばれるものですが、彼は、星雲としてこれを捉えます。
・1677年 エドモンド・ハレーが南半球の恒星を観測し、その際にオメガ星団を記録。
紀元前にトレミーにより星と記録されたオメガ星団は、ここで昇格(?)して「星雲」と認識される
ようになりました。ハレーは文字通り、ハレー彗星の研究で有名で、その他にも多くの業績を
残していますが、このオメガ星団の発見は彼がまだ20歳そこそこのときのこと。
・1714年 ハレー58歳のとき、ヘルクレス座のM13を発見。
≪2.観測技術の向上とカタログ化(18世紀)≫
望遠鏡の性能が高まり、これらの「星雲」が星の集団であることが分かってくる時代。
・1751-52年 ラカーユが南天の観測で、NGC104など多くの球状星団をカタログに残しました。
・1764年 メシエが彗星探索の中に、球状星団M4において、始めて「個々の星」の集まりとして
分解・観測することに成功。その後、メシエカタログを発表する中で、数々の球状星団をカタログ化。
・1782~19c ウィィアム・ハーシェル。 数々の天文学上の功績を残す彼ですが、彼は生涯で4000台以上の望遠鏡を製作した
と言われ、大望遠鏡を用いて多くの星団を星に分解し、それらを球状星団 (Globular Cluster)となづけました。
≪3.球状星団解明の結果、天の川銀河の構造が解析されている—(20世紀初頭)≫
さて、実はいままでのところは前段であり、ここからが本題と言えましょう。
球状星団を発見し、その距離や分布を解析してきた結果、星団そのものの研究を越えて、
天の川銀河の構造が明らかになってきました。
1910年代 シャプレーの研究 球状星団がいて座の方向に集中して分布していることを突き止め、
これにより、天の川銀河の中心が太陽系から遠く離れた場所にあることを示しました。
1912年 リービットがケフェウス座デルタ型変光星の周期、光度関係を発見したことで球状星団までの距離が
測定可能となりました。
という事で、ここまでがまさに歴史と言える部分です。私たち現代人が歴史の所産として受け継いできたものといえましょう。
≪4.系外星団と宇宙初期の姿の解明(20世紀後半から現代)≫
では、今まさに現代を生きる我々にとって、もっともホットな研究として何が解明されてきているの でしょうか?
・系外球状星団の発見 1778年にメシエが発見したM54が、1994年には、天の川銀河の伴銀河(いて座矮小楕円銀河)に
属する「銀河系外の球状星団」であることが判明。
・ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による初期宇宙の解明
JWSTはその高い赤外線感度により、133億光年という宇宙初期の超遠方にある銀河(コズミック・ジェムズ・アーク)に
最古の球状星団を多数発見し、星の誕生と銀河形成の初期段階を解明しています。
この研究によると、この最古の球状星団は、天の川銀河の球状星団より質量は大きく、恒星の密度も非常に高いことが分かり、
初期宇宙の若い銀河で球状星団がどのように誕生したのか解明する大きな一歩と期待されています。
さらに、銀河の進化の解明やブラックホールの種の形成への新たな視点になるのではないかと期待されています。
≪最後に≫
この様に、観測技術の進化と共に、現在ではより深部の宇宙について解明が続けられています。
その一つの方法として球状星団が注目されています。
現在、天の川銀河には約150~180個の球状星団が知られています。
球状星団は、初期宇宙の形成過程を知るための重要な観測対象となっているのです。
いわば、この宇宙の歴史の生き証人として、古くて新しい鍵を握っている存在なのです。
こうした球状星団の歴史と共にひも解く深宇宙の世界、銀河の歴史、を
伊藤先生のやさしい切り口に導かれ、勉強していきましょう。
やさしい科学的天文講座 2026年度カリキュラム
テーマ:「球状星団が語る宇宙の姿」 全4回
日程:
1.球状星団の一般的特徴 2026/05/23 (土) 14:00~16:00
2.ちょっと変わった球状星団 2026/07/05 (日) 14:00~16:00
3.研究手段としての球状星団 2026/10/17 (土) 14:00~16:00
4.天の川銀河以外の球状星団について 2027/01/24 (日) 14:00~16:00
場所: 伊良湖ホテル&リゾート セミナールーム、及びオンライン参加
人数: ホテル参加20名、オンラインは制限なし
講師: 三重大学教育学部教授 伊藤信成(銀河天文学)
座談会と費用:講座終了後、ホテルでは、先生を囲んで懇談会を行います。
(懇談会参加者の方のみ懇談会用のティー代金として2200円をいただいております。)
また、天候さえよければ観望会も実施します。
講座のお申し込み先、連絡先
伊良湖ホテル&リゾート天文クラブ info@iragotenmon.club
伊良湖ホテル&リゾート 0531-34-2325
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