今年最大の天文イベントは、なんといっても2026年3月3日宵の時間帯に見られる皆既月食です!
最大の天文イベントと言いましたが、正しくは、2026年の唯一無二の天文イベントとなります。
他には天文イベントといえそうなものはありません。
皆既月食と聞いて、多くの方が思い出すのは3年前、2022年11月8日に日本全国を熱狂させたあの夜ではないでしょうか。
実は、半年前の2025年9月8日にも皆既月食がありました。(ブログ「真夜中の皆既月食」を参照)
ところが、この月食は、真夜中の時間帯でしたので、見ていない方も多いのではないでしょうか。
真夜中だけに、月食の織りなす幻想的な雰囲気は拍車をかけ、まるで他の天体にいるような心持ちでしたが、
残念ながら見ていない方が多いと思います。
今回の皆既月食は、宵の始まった19:00ごろから22 : 00にかけての時間帯ですので、大変観察し易いものとなります。
また、次に日本で見られる皆既月食はというと、なんと、2029年1月という事でしばらくは見ることができません。
是非、今年唯一無二の天文イベントを、伊良湖ホテルの屋上天文台で観察しましょう。
≪皆既月食のメカニズムをおさらい!≫
さて、皆既月食とは一体どのような現象なのでしょうか?日食と合わせて、その仕組みを改めて確認しておきましょう。
私たちにとって身近な天体である太陽、月、地球。この3つの天体が一直線に並ぶ瞬間に起こるのが、月食や日食です。
・日食:太陽 → 月 → 地球 の順に並ぶ
・月食:太陽 → 地球 → 月 の順に並ぶ

もし、地球と月の公転軌道が同じ平面上にあれば、満月のたびに月食が、新月のたびに日食が見られることになり、
これほど注目されることはなかったでしょう。しかし、地球の公転軌道と月の公転軌道は約5度傾いています。
このため、3天体の投影面では確かに一直線でも、実際には、上下にずれていることがほとんどで、この傾きがあるため、
月が地球の影に入ることは稀で、だからこそ月食は、貴重な天文現象として注目されるのです。
≪ 次回の皆既月食は3年後 ≫
とはいうものの、月食は地球規模で見ると、ほぼ半年ごとに起こる現象です。
と言うのも、何かが左右あるいは上下に揺らいでいるとき、1往復する間に2回正しく一番近い地点を通ります。
ですから、上下にずれることなくまさしく3天体が一直線になることは、半年に1回あるわけです。
では、半年に1回月食がみられるかというと、決してそんなことはありません。日本で見られるかとなると、
その機会は限られます。月食は満月のときに起こる現象であり、満月はいつも宵の空にあるので、どうしてみることが
できないのかと思いますね。それは、実際には、満月の時間帯は月が地平線の下に沈んでいる時間帯も含まれ、
月食という数時間の短い現象が、この地平線の下に沈んでいる時間帯にあたれば、見ることができません。
また月食となっても、月の一部が食される部分月食となる場合も多く、なかなか、完全な月食を見れるチャンスは
数年に一度程度と言えるでしょう。
ということで、 2026年は、まず3月3日に皆既月食となります。 が、その後はというと、2029年1月1日(なんと元旦!)
まで、日本で見られる皆既月食はありません。
≪何時から月食は始まるの?≫
2026年3月3日の月食の具体的な時間帯は、下記の図のとおりです。
これは東京での時間ですが、月食の進行はどこの場所でも同時に進みます。
月食は、地球の影に月が入る現象で、そして地球の影は一つです。月が影に入るタイミングは、地球上、どの場所でも同じになります。
したがって、月食の各時間は日本全国共通(というか世界共通)です。
ただ、その時の月の高度が違ってきます。
東京では「食の最大」となるのは、20時33.7分 高度は35° ですが、
伊良湖でも「食の最大」となる時刻は同じ20時33.7分 そして高度は東京よりもやや低く、33.5° となります。

≪食分≫て何?
また、ここには食分 1.156 とあります。
食分とは何なのでしょう。その数字は何を表しているのでしょう。
食分は日食、月食にて使われる言葉です。言ってみれば、どの程度完璧に食されたのか、
あるいは完璧に影の中に入ったかを表す言葉です。
とりあえず、ここでは月食の場合の食分についてみていきます。

食分とは、月食の際に、月の直径のうち、地球の影に隠される部分の割合を示しています。
この図の計算式により計算される値が 1以上の場合が「皆既月食」となり、1に満たない場合は
「部分月食」という事になります。そして、皆既月食の場合、1より大きければ大きいほど、
より深く、地球の影に月が入り込んだという事になります。また、その数字は、地球の本影の視半径と
月の視半径との差が大きければ大きいほど、大きな数字となり、しっかりと影に入り込んだということを表します。
という予備知識を持って、ここに示されている「食分 1.156」を読み解くと、Cの「ぎりぎりに本影に入り込む」
状態より、少し深く入り込んだ程度かなと想像できます。
いずれにしても皆既月食です。しっかりと観察し、思い出に残る写真を撮りたいですね。
写真は、伊良湖天文台の望遠鏡TOA150でとらえた望遠鏡の画像を、その接眼レンズにカメラのレンズを
そのまま近づけて撮ることができます。(コリメート法)
≪ なぜ皆既中の月は「ブラッドムーン」と呼ばれるのか? ≫
写真は、3年前の2022年11月8日の月食の様子です。

「月が地球の影に入って、見えなくなる現象ではなかったの?」 「暗いとはいえ、どうして月の姿が見えるの?」
と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょう。
地球の周りには大気があります。太陽光が大気を通過する際、波長の短い青い光は空気の分子によって散乱され、
大気をほとんど通過できません。一方、波長の長い赤い光は散乱されにくく、光はなんとか大気を通り抜けます。
これは、朝日や夕日が赤く染まるのと同じ理由です。
さらに、大気はレンズのように働き、太陽光を屈折させて地球の本影の内側へ送り込みます。(下図参照)。
この微かな赤い光が、皆既中の本来見えないはずの月の表面を照らし、月は暗い赤銅色に染まって見えるのです。
この幻想的な赤い月は「ブラッドムーン」とも呼ばれます。
さらに、火山の噴火などで大気中にチリが多いときには、暗い赤銅色に見え、逆にチリが少ないときには、
明るいオレンジ色のような赤色に見えます。さて、3/3の月はどんな色に見えるでしょうか。

≪さらに目指すは「ターコイズフリンジ」≫
さらに、皆既月食の魅力はそれだけではありません。月が欠け始めると、その境目に沿って繊細な色の変化が見られることがあります。
これは、望遠鏡や双眼鏡でじっくりと観察するか、写真撮影をしてようやく確認できるほどの非常に微妙な現象です。
欠けた部分の境目がブルーがかって見えることがあり、これは「ターコイズフリンジ(トルコ石色の縁)」と呼ばれます。
この現象には、地球のオゾン層が関係していると考えられています。
下の写真は、天文クラブ員が2022年の皆既月食の様子を10分ごとに撮影したものです。

皆既月食でこのターコイズフリンジに出会えたら、きっと感動的な体験となるでしょう!
という事で、この貴重な機会を逃さず、3/3には、一緒に皆既月食の観察をしませんか?
勿論、月食は肉眼で十分楽しめる現象です。カメラの望遠である程度の写真は撮れるでしょう。
しかし、望遠鏡でとらえた映像をご自分のカメラでキャッチし、満足のいく写真を撮ることが
できたなら、きっと、忘れられない記念になり、きっと忘れられない夜となるでしょう。
観察会へのご参加希望の方は、ホテルへお申込みの際に、その旨を伝えてください。
この貴重な天文現象をぜひぜひ一緒に体験しましょう。
