天の川に潜む星雲 M8 干潟星雲

 

6月7月の観望会は、チラシのようになります。日程表はこちらを参考にしてください。 
ご案内用PDFファイル

6月、7月は梅雨の時期ですが、ふと雨があがったその一時に、思わぬ美しい星空に巡り合うことがあります。
雨のあとの空は、チリが流されてとても澄んでいて、まさに宙の彼方を見渡せます。

そして、そんな折には、南の低空のさそり座、いて座あたりからもくもくと立ち上り、夏の大三角を通り、
北のカシオペアへと続く天の川にも出会えることも。

観望会のある日でしたら、そんな雨上がりの日は、ふらっとこの伊良湖ホテル&リゾートの屋上天文台へ来てみてください。天の川の中に潜む星たちに出会えるかもです。

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さて、ちょうど1年前、かんむり座T星の新星爆発のことを取り上げました。
もうすぐ新星爆発をおこすのではないかと期待されていました。
この星は、普段の明るさは10等ほどで、肉眼はおろか、望遠鏡でも大きい望遠鏡でしか観察できないのですが、
新星爆発を起こすと、数千倍の明るさとなり、2等ほどの明るさになると見込まれています。それがおよぞ80年の
周期でくりかえされている(再帰新星と言います)ので、そろそろ新星爆発の時期ではないかと言われました。

しかし、結局、新星爆発は起きず、1年がたちました。
かんむり座は春から夏にかけての星座なので、1年後再び、そのことが話題となっているのです。

では、おさらいをしましょう。

≪かんむり座T星≫
地球から約3000光年先にあるかんむり座の方向にある白色矮星と赤色巨星の連星系。
約80年の周期で新星爆発を起こす再帰新星。
これまで、1866年と1946年の2回、爆発が観測されており、いずれも、爆発の時は2等程度の明るさになりました。
平常の光度は10等程度で、80年程度の周期と考えると、次は2026年ごろと考えられるのです。
しかし、2024年ころから、前回と同じような減光の経過をたどっているので、そろそろではないかと注目されています。
爆発後は1~3日でもとの光度に戻ってしまうので、かんむり座に異変があるとの情報が流れれば、
すぐにも観測しなければなりません。

≪新星爆発と超新星爆発≫
ところで、「新星爆発」と聞くと、ああ、ベテルギウスで注目されている と思われる方もいらっしゃるでしょう。
ベテルギウスは「超新星爆発」を起こすとされており、かんむり座のT星は「新生爆発」で、
それらは「もとあった恒星が突然明るくなる」という意味では似ていますが、メカニズムが異なります。
超新星は、新星に比べるととても稀な現象で、すさまじいエネルギーの為、新星より何千倍の明るさで輝きます。
(だから”超”とついています。)

星の表面だけで爆発する新星と異なり、超新星は恒星全体が吹き飛ぶ爆発です。ですから、星の命の中で、
それは1回起こって終わりです。超新星爆発で吹き飛ばされた物質は、周囲に広がった残骸として見られるようになります。
それに対して、新星爆発は、爆発しても星本体は残っているので、何年周期で繰り返す、ということになります。
このような連星系で、白色矮星が限界まで重たくなり、星の中心で急激な核融合反応が起こり、星全体を吹き飛ばす、
そうした超新星爆発を核爆発型超新星(Ⅰa型)といいます。

これとは別に、とても重たい星が寿命をむかえるとき、中心核が突然つぶれ、星全体が吹き飛ぶ爆発が起きます。
重力崩壊型超新星(Ⅱ型超新星爆発)です。ベテルギウスが向かっている超新星はこちらの型で、そのあとには、
中性子星やブラックホールが残ります。

≪夜空のどこを見る?≫

この様に、新星爆発の意味を理解したうえで、それでは、夜空のどこをみればよいのか。かんむり座は夜空のどこにあるのか?
が問題ですね。

まずは、北の空を見上げて、北斗七星を探しましょう。ひしゃくのかたちをした北斗七星はおそらく、見つけられるはず。
この七星のひしゃくの手のカーブをそのまま伸ばします。そこには、オレンジ色の明るい0等星(1等星よりも明るい)が
見つけられます。この星はうしかい座のアークツールス。また、東の空へのぼってくる夏の大三角の直角部分にあたる星、
ベガ(織姫星)も0等星で明るい星なのでみつけられるでしょう。アークツールスとベガを結び、中央よりアークツールスよりに、
冠の形をした半円形の小さな星座、それが「かんむり座」です。その主星、アルフェッカは2等星、あとは4等星、5等星なので、
おそらく市街地ではアルフェッカがみられる程度でしょう。が、この辺りに、あれ?もう一つ2等星が見える!とおもったら、
それがきっとこの新星爆発したかんむり座T星でしょう。かんむり座のなかの位置は、上図の青い点の位置。
及び下の図では星マーク(*)の位置です。かんむり座の半円を形作っている星ではありません。
まずは、アルフェッカを見つけてください。爆発していない状態では、アルフェッカがめだっている程度ですが、
もしも新星爆発したのなら、そのあたりに、見慣れぬ2等星がある!ということになります。
毎晩、星空をみることがわくわくしてきませんか?

かんむり座はどこにある?  Stella Navigater より

かんむり座のこの新星はいったいいつ爆発するのでしょう?
明日かも、明後日かも、いや1年後?いやいや、今この時かもしれません。

ベテルギウスの超新星爆発を経験することは難しいかもしれません(あと10万年後とも言われている)が、
このかんむり座T星の新星爆発は、我々の人生の中でと考えれば、結構な確率で経験できるかもしれない、と思われます。
80年に1度の好機をみのがすことなく、楽しめたら感動ものですね。
情報が流れてきたら、直ぐに自分の目で確かめましょう。見られる時間は、とてもとても短いので。

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