4月5月の観望会は、チラシのようになります。日程表はこちらを参考にしてください。 ご案内用PDFファイル
夜空は季節とともに移り変わります。
冬の間、どーんと夜空の中心に君臨していたオリオン座や冬の星座たちが西の空に傾いて、
この夜空という舞台から去ろうとしていることに寂しさを感じます。
それは9月に秋風を感じて、あの夏が終わっていくかと寂しく感じることと同じですね。
代わりに東から、春の星座たちが昇ってきています。冬の夜空に比べると、明るい星も少なく、
晴天のようでも実際には春霞がかかったような柔らかな表情のこの春の星空。
さて、この様に、見ることのできる存在感のある恒星は、なぜ冬や夏に多いのでしょう?
私たちの地球は太陽系にあり、その太陽系はまさに、天の川銀河の中に存在しています。
つまり、星空は天の川銀河を中から見ている景色なのです。この天の川銀河の様子をわかり易く見ると、
下図になります。
天の川銀河は渦巻腕を持つ円盤状の形態で、この円盤を真横から見ると、薄い凸レンズの
ような形をしています。太陽系が天の川銀河の中心より少し離れたところに位置し(中心より約3万光年離れている)、
その太陽系から天の川銀河の中心部をみたのが夏の星座です。なるほど、夏はさそり座いて座の辺りに、
天の川銀河を象徴するもっとも太い部分を見ることができ、この辺りを望遠鏡でのぞくと、星雲、星団の宝庫であり、
どこをとっても星々を多く見ることができます。
逆に、天の川銀河の円盤の中心の逆方向を見ても、そこにも天の川銀河は広がっており、豊富な星々を見ることができます。
さて、春と秋は、天の川銀河の薄い円盤状を垂直方向に見ている、つまりわずかな奥行をみているので、恒星そのものは少ないのです。
だがしかし、がっかりしてはいられません。
その代わりに! この広い暗い空の彼方には、天の川銀河の外の宇宙が見渡せます。つまり、言ってみれば
外の世界を見るための「宇宙の窓」がすっぽりと開いているようなものです。
おとめ座銀河団、おおぐま座銀河団、さんかく座銀河団といった銀河の宝庫を私たちは、
その柔らかな春の夜空の彼方にに見ています。
といっても、肉眼では勿論見ることはできません。(秋のアンドロメダ銀河、南半球の大小のマゼラ
ン銀河はなんとなくぼやっとしたものとして見られることはありますが。)
望遠鏡なら見られるものもありますが、やはり、相当、苦しいです。
一般的な通常の恒星までの距離は、最も近いもので、4.26光年、遠いもので2000光年程度。
しかし銀河となると、天の川銀河の外の世界ですから、一番近い大マゼラン銀河で16万光年、
小マゼラン銀河は20万光年、アンドロメダ銀河で250万光年。つまり、銀河の距離は万単位なのです。
そんな超遠くの銀河を見ようとするので、あまり簡単にはいきません。
一般の望遠鏡では、よほどの天候上の好条件が求められます。
が、伊良湖天文クラブの持つ、eVscope というスマート望遠鏡なら、この超遠い銀河の姿を見ることができます。
これは望遠鏡とカメラが一体となったようなものですので、写真にとったような天体の姿をその場で観察する
ことができます。
条件が整った日には、これらも使って、春の銀河祭りをしたいと思っています。
そこで、最近、撮影した春の銀河などの写真をご紹介しましょう。
↑ M3 球状星団 りょうけん座 距離33,900光年 実直径100光年以上
銀河ばかりのこの春の空で、気を吐いて存在する球状星団の定番。
↑M51 子持ち銀河 りょうけん座の渦巻銀河 距離2,100万光年 大小二つの銀河が繋がりこの名で呼ばれる
↑NGC4566 かみのけ座の渦巻銀河 距離5,000万光年
↑M104 ソンブレロ銀河 おとめ座 距離 4,600万光年
大きな暗黒星雲が銀河を一直線に横切る様子が特徴的で、
その様子がメキシコのソンブレロという帽子のようなので、この名で親しまれている。
と、こんな感じで、お天気のよい日に観望会にて、春の銀河の宝庫を味わってみましょう。
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